第24回・京都五山の成り立ち(1300〜1400年頃)

京都五山は中国の五山十刹の寺格ににならい、鎌倉幕府から導入された。臨済宗(禅宗)の寺が対象で、北条貞時により鎌倉の浄智寺が五山の始まりと言われ、京都の建仁寺・東福寺も含めて数えられるようになった。
第一位に建長寺(鎌倉)・南禅寺、第二位に円覚寺(鎌倉)、第三位に寿福寺(鎌倉)、第四位に建仁寺、第五位に東福寺、準五山に浄智寺だった。天龍寺などが追加で入り、順位はその都度変更された。

京都五山

室町時代に入ると足利義満により鎌倉と分けた京都五山が制定され、相国寺の創建により南禅寺は五山の上の別格となり、南禅寺・天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺の順となった。

南禅寺(左京区南禅寺福地町)

都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ) 
都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ) 

正応4年(1291年)亀山天皇が御所である離宮禅林寺殿で出家し法皇となり、その地に無関普門(大明国氏)を迎えて開山したのが始まり。しかし無関普門はその年になくなり、翌年に規庵祖圓禅師(南院国師)が選ばれ、15年かけて離宮に大伽藍が造営された。
足利義満により五山に選ばれ、のちに相国寺が創建されると五山之上となった。

天龍寺(右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町)

都名所図会第4巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)
都名所図会第4巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)

暦応2年(1339年)足利尊氏が後醍醐天皇を弔うために創建された。造営に多額の資金が必要となり、天龍寺船による元との貿易で資金を集め、康永4年(1345年)に落慶された。
天龍寺は創建されると京都五山の第二位に入ったが、相国寺が入ることにより繰上げで第一位となった。

相国寺(上京区今出川通烏丸東入 )

都名所図会第1巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ) 
都名所図会第1巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)

永徳2年(1382年)に足利義満が春屋妙葩と義堂周信に寺院の創建を相談し、その際に義満の左大臣の位から中国でいう相国、また明の大相国寺に例えて相国寺となり創建された。
義満の住居だった花の御所の近くに建てられ、翌年には夢想漱石が開山した。
足利家の庇護により京都五山に入り、第二位となった。

建仁寺(東山区大和大路通四条下る小松町)

都名所図会第2巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)
都名所図会第2巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)

建仁寺は栄西が禅寺として建仁2年(1202年)に建立した。初めの鎌倉を含めた五山の内に入り、京都五山の第三位となる。

東福寺(東山区本町15丁目)

都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)
都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)
都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)

九条道家が九条家の菩提寺として奈良の東大寺・興福寺から名を取って延王元年(1339年)に建立した。寛元元年(1243年)に円爾(聖一国師)を迎て開山、天台・真言・禅を兼ねた大寺院となったが、火災にあい貞和3年(1346年)に再興した際に禅宗のみとなった。五山も鎌倉から入り、京都五山第四位となった。

万寿寺(東山区本町)

都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ) 
都名所図会第3巻 安永9年 1780年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ)
拾遺都名所図会第3巻 天明7年・1787年(京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ) 

万寿寺は永長元年(1096年)に白河上皇が皇女郁芳門院媞子内親王の菩提寺として創建した。当初は今の五条堀川通西の万寿寺通りにあって、御所であった六条内裏の中にあった。元は浄土宗であったが、後に東福寺の聖一国師の教えから湛照が禅宗に改宗し、万寿禅寺となった。
室町時代は足利家の庇護から京都五山の第五位に入ったが火事で衰退し、天正年間に現在の場所となる湛照が開山した聖三寺の境内に移転した。
江戸時代は万寿寺と聖三寺の二つの寺が同居する寺領だったが、明治維新の廃仏毀釈により聖三寺は廃寺と寺領の処分によって縮小し、昭和10年になって市電の東大路通開通により現在の規模になった。
現在は東福寺の坊塔となっている。

参考文献 
京都府立京都学・歴彩館デジタルアーカイブ
京都・観光文化検定試験公式ガイドブック(淡交社)
フィールド・ミューアジム京都
各寺社の公式サイト・参拝のしおり・由緒書き
古寺巡礼 京都18 東福寺(淡交社)

※各説明文に関しては史料などを参考に、独自に考察しています(2021.5/23改訂)