港町KOBEから航海の旅へ、多数のコレクションから蝦夷と異国趣味と港の成り立ちを知る「コレクション 大航海時代 蝦夷発→異国経由→兵庫行」

兵庫県神戸市にある神戸市立博物館が昨年9月からの改修工事を経て、2月10日に再開館をしました。再開を記念して博物館のコレクションから「蝦夷・異国・兵庫津」をテーマに企画展「コレクション 大航海時代 蝦夷発→異国経由→兵庫行」が開催されています。

神戸市立博物館・神戸市

神戸市立博物館は昭和10年竣工の旧横浜正金銀行(現 三菱UFJ銀行)神戸支店ビルを転用しています。平成10年には登録文化財になりました。

未知の土地を探検する先人たち

神戸市立博物館・神戸市

神戸市立博物館のコレクションから長きに渡って未知の土地であった蝦夷地、今の北海道に関する地図が測量や調査により、次第に全貌がわかるようになっていく推移が紹介されています。

伊能小図 北海道・文政4年(1821)頃 

全国を測量した伊能忠敬は北海道にも行きましたが、全域ではなく南岸しか行うことしかできなかったため、測量方法を伝授された間宮林蔵により、沿岸部の詳細な地形が明らかにされました。

蝦夷闔境輿地全図・嘉永7年(1854)

嘉永6年にロシア使節のプチャーチンが国交樹立と樺太・千島列島の国境確定を求めて長崎を訪れました。幕末の国際的な動きの中で蝦夷地への関心が高まり、樺太や千島列島も含めた詳細な地名を書き込んだ地図が多数作られるようになります。

北海道国郡図・明治2年(1869)

北海道の探検を行なっていた松浦武四郎は、開拓判官に命じられると、蝦夷地と呼ばれていた土地を北海道と名付けます。

その他にも1580年代から1800年代にかけての世界図、アジア図といった多数の地図で、世界における日本の存在が浮き彫りになっていくのが分かります。

世界と交わる日本の芸術

谷文晁「ファン・ロイエン筆花鳥図摸写」・江戸時代、19世紀前期

17世紀以降、中国・オランダとの交易を通じて海外の文化が入り、美術品にも当時の人々の異国への憧れが反映されるようになりました。谷文晁の「ファン・ロイエン筆花鳥図摸写」は徳川吉宗の名により船で運ばれてきた油彩画を、石川大浪・孟高が模写し、さらにそれを谷文晁が模写したもので、西洋画を日本画の技法で写し描いた作品です。

歌川豊春・北尾政美「浮絵付き のぞきからくり」・江戸時代、18世紀後期

「浮世絵付きのぞきからくり」は、赤い縁の中にあるレンズを覗き込んで、箱の中にある絵を奥行きがあるように錯視させる線遠近法を使ったからくりでした。箱への光の入れ方で昼と夜を演出することもできました。

左から「藍絵花卉文四段重」・文化13年(1816)箱付き、「藍絵西洋風景図刀掛」・「藍絵花卉唐草に竜文燭台」共に江戸時代、19世紀前期

19世紀以降からヨーロッパの趣向を取り入れた工芸品が輸出されるようになり、京都では京阿蘭陀と称される焼き物です。この京焼は、ヨーロッパの陶磁器に影響を受けたものであり、当時の異国趣味が反映されています。

港から発展する神戸

月岡芳年「芳年武者无類 平相国清盛」明治10年(1877)

神戸は奈良時代に整備された五つの泊の内の一つである大輪田泊から発展しました。平安時代末に平清盛によって整備され、日栄貿易の拠点となり、その後に改修を経て兵庫津と呼ばれようになりました。

西国街道絵巻・江戸時代、17世紀

江戸時代に入ると港だけでなく西国街道の宿場町として発展し、幕末以降、欧米との通商条約によって開港場としてとなっていきました。

神戸市兵庫港和田岬私立水族放養場実測三百分之壱縮図・明治29年(1896)

明治28年(1895)に京都で第4回内国勧業博覧会が開催された際に、博覧会の附属施設として、和田岬にあった遊園地の和楽園に和田岬水族放養場が開設されました。施設は存続し明治30年(1897)に第2回大日本水産博覧会が神戸市で開催される際に、規模を大きくして和田岬水族館となりました。これが日本最初の水族館とされています。

青貝細工花鳥文丸机・江戸時代後期〜明治時代前期、19世紀

今回の展示品で興味を引いたのは、長崎で作られたと考えられる青貝細工花鳥文丸机です。貝を薄く削ったもの彩色を施して漆で接着し、さらに漆を塗って研ぎ出すことにより、花や鳥の図柄をキラキラした美しさを表現しています。この青貝細工で作られた品物はヨーロッパに輸出され、西洋人達は美しさに心を奪われたでしょう。

展示品は総数112件もあり、じっくりと見ていると時間が足りない量でした。見所の紹介として毎週土曜日の11時から11時30分にかけて学芸員による展示解説があります。

常設展示で神戸の街を知る

神戸市博物館・神戸市

神戸市博物館は常設展示も充実しており、神戸の発展が様々な展示品で紹介されています。また有名な聖フランシスコ・ザビエルの肖像画も所有しており、基本は複製品で展示されていますが、本物も期間限定で公開されます。

神戸市は他にも神戸海洋博物館、兵庫県立美術館など他多数の博物館・美術館があります。ミュージアム巡りで神戸の魅力を探してみてください。

企画展「コレクション大航海 蝦夷えぞ発→異国いこく経由→兵庫ひょうご行」

開催場所 神戸市立博物館

会  期 2024年2月10日(土曜) ~ 2024年3月17日(日曜)